京都の夜、やさしい灯りに包まれる「八起庵 京都高島屋店」

京都・四条河原町の中心。夜の京都タカシマヤ7階、レストラン街の一角に静かに灯りをともすのが「八起庵(はちきあん) 京都高島屋店」です。
店の前には木の格子と控えめな暖簾。派手さはなく、京都らしい落ち着きのある佇まい。買い物を終えて少し疲れた体を癒やすように、ここへ足を運ぶ人が多いのも納得です。
八起庵 京都高島屋店のメニューから伝わる“本物志向”

メニューを開くと、まず目に飛び込んでくるのが「親子丼と鴨なんば(小)セット」。税込2,453円という価格ながら、内容を見るとその理由がわかります。
八起庵は卵や鶏肉、そして出汁のすべてにこだわる鶏料理専門店。選び抜かれた素材を京都の料理人が丁寧に仕上げる——その一皿には職人の誇りが感じられます。

ドリンク欄には、思わず気になる「コールドプレスオレンジジュース(税込495円)」の文字。料理だけでなく、素材を大切にした飲み物を提供しているところにも、八起庵の心遣いが見えます。今回はこのジュースも一緒に注文してみました。
一杯目から香りが広がる「コールドプレスオレンジジュース」

まず運ばれてきたのは、グラスに注がれた鮮やかなオレンジ色のジュース。氷がゆっくりと溶けながら、グラスの中でキラキラと反射します。ひと口飲むと、驚くほど濃厚。果実そのものの甘みと、ほんの少しの酸味が心地よく残ります。
“コールドプレス”という製法は、加熱せずに果汁をゆっくりと搾り出すもの。だからこそ、ビタミンや香りがそのまま生きています。
このジュースを飲んだ瞬間、心がふっと軽くなるような爽やかさに包まれました。
「こだわりの親子丼」は、香りからして違う


セットの主役は、八起庵の代名詞でもある「親子丼」。テーブルに置かれた瞬間、ふわっと広がる出汁と卵の香り。見た目はシンプルなのに、黄金色の卵がツヤツヤと輝き、丁寧に仕上げられているのが伝わります。
スプーンを入れると、卵がとろりと柔らかく、ご飯の上で流れるように広がります。鶏肉は一つひとつが大ぶりで、噛むほどに旨みが滲み出る。出汁の風味はやや甘めですが、後味は上品でくどさがありません。
京都の食文化を支える“だし文化”の真髄を、この一杯で感じられると思います。一口ごとに、心がほぐれるような優しい味でした。
出汁の香りに癒される「鴨なんばうどん」

セットの「鴨なんば(小)」は、まるで小鍋のように存在感があります。透き通るような出汁に、京鴨と九条葱がたっぷり。スープの表面には鴨の脂が薄く浮かび、香りだけで食欲をそそります。
鴨肉はしっかりした歯ごたえで、噛むたびに脂の甘みが広がります。九条葱はやわらかく、噛むと出汁のうま味を吸ってとろけるよう。うどんは細めで、京都らしいやわらかい口当たり。
途中で京山椒を少し加えると、香りがふわっと立ち上がり、味がキリッと引き締まります。一杯の中で「出汁・香り・食感」が移ろうように変化していく——そんな“京都の粋”を感じられる一品でした。
ゆっくりと時間が流れる、夜の八起庵
夜の八起庵は、昼とはまったく違う雰囲気。照明はやや落とされ、テーブルごとにやさしい灯りが灯ります。デパートの中にいながら、外の喧騒がまるで嘘のような静けさ。一人でも安心して食事を楽しめる空間です。
店員さんの接客も控えめで丁寧。料理が運ばれるタイミングも絶妙で、まるで京都の料亭にいるような心地よさがありました。
まとめ:京都の夜に、心がほどける一膳を
京都タカシマヤの中にあるとは思えないほど、八起庵の夜は静かで穏やかでした。ふわとろ卵の親子丼、出汁が香る鴨なんばうどん、そして果実の香りが広がるオレンジジュース。どれも派手さではなく“やさしさ”で心を満たしてくれる味です。
京都らしい丁寧さと落ち着きを感じながら、一日の終わりを少し贅沢に締めくくる——そんな時間を過ごせるお店でした。
店舗情報
八起庵 京都高島屋店
住所:京都市下京区四条通河原町西入真町52 京都タカシマヤ7階
営業時間:11:00〜21:30(L.O.20:45)
定休日:不定休(京都タカシマヤに準ずる)
アクセス:阪急「京都河原町駅」直結



